現在では考えられないが、満員電車から吐き出された乗客の多くが、駅の階段でたばこに火をつけたのである。他人のたばこでやけどをする、火や灰が落ちて衣服が汚れる、ストッキングが焦げるなどの苦情が相次いでいたという。「ラッシュアワーに1時間も電車に揺られていると、どうしても降りたときに一服したくなる」という通勤客が多数派の時代だった。1974年の新宿駅乗降客は128万人。中央線ホームを降り立った乗客の実に70%がたばこを手にした...